Oneside Flat Web

◆不定期日記ログ◆

■2026-02-07
合計特殊出生率って何だ?
 大変だァァッ! 2024年の日本の合計特殊出生率は1.15! 東京都もずっと1.0以下だッ! この国はもうおしまいだ!!

 ……だがちょっとまて、合計特殊出生率って何だ?
 そもそも率なのに単位がパーセントでもパーミルでもないし、何を合計しているのか、何に対して特殊なのかも知らない。
 「出生」以外の全てがわからないぞ、合計特殊出生率!!


 落ち着いて考えてみよう。
 まず出生数はわかる。その地域で、その年に生まれた人の数だ。
 これを他地域と比較したいときには「人口1000人あたり何人生まれたか」を計算するのが一般的だ。
 人口60万人で出生数が6000人とすると、6000を600000で割って0.01。1人あたり0.01人なので、人口1000人あたり10人生まれている(10‰)わけだ。
 これを、普通出生率という!

 だが、普通出生率には致命的な弱点がある。
 普通出生率はどこにもだいたい老若男女が同じくらいの割合でいると考えた数値だが、実際はそうではない!
 65歳を超えた高齢者が人口の過半数を占めている田舎と、若い人が暮らす都会では状況がまったく違う。あるいは出稼ぎの労働者が集まり、男性人口が異様に多いUAEのような国もある。
 このような多様な環境で、仮に同じ「人口1000人あたり10人生まれている」という割合が出たとしても、それをそのまま「同じくらいの頻度で出産があるのね」と理解することはできない!

 なので、ざっくりと統計上「15歳から49歳の女性の人口」だけを母数として計算する……
 これを、特殊出生率という! ……あまり見ないけど。


 特殊はわかった。次は「合計」だ。いったい何を合計しているというのか。

 せっかく算出した特殊出生率だが、これは「その年にその地域でどのくらい出産がさかんだったか」を示す数字であり、我々が知りたい「一人の女性が一生の間に産む子どもの数」とは意味合いが異なる。
 そして、もし「一人の女性が一生の間に産む子どもの数」の平均を計算しようと思ったら、生涯を終えた女性を対象にデータをとらなければならず、それは「今」の状況を反映していない。
 
 そこで、「15~19歳」「20~24歳」……「45~49歳」のそれぞれの年齢帯の出生率を計算し、それを合計することで、現在15歳の女性が49歳までに出産する回数とみなそう、という発明がなされた。

 たとえば次のような人口および出生数があったとしよう。
年齢階級別出生率
 余談だが、この表を手っ取り早く作るためにChatGPTとGeminiとClaudeを「日本の女性人口と出生数を持ってまいれ!」って放ったら全員バラバラの数値を持ってきやがったので架空の概数にしている。ちゃんと調べるときには「統計資料のあるページを教えて」っていわないとダメだな。

 さて、この表のような人口および出生数があったとして、今15歳の女性は、
  • 1年に0.002人出生するゾーンを5年 → 0.010人出生
  • 1年に0.017人出生するゾーンを5年 → 0.085人出生
  • 1年に0.065人出生するゾーンを5年 → 0.325人出生
  • 1年に0.084人出生するゾーンを5年 → 0.420人出生
  • 1年に0.050人出生するゾーンを5年 → 0.250人出生
  • 1年に0.012人出生するゾーンを5年 → 0.060人出生
  • 1年に0.000人出生するゾーンを5年 → 0.000人出生
 ……を通り過ぎて、50歳をむかえるのだ、と仮定できる。
 この場合の出生人数は、これらをすべて合計した1.150となり、つまりこれをもって「一人の女性が一生の間に産む子どもの数」の平均値とする!
 これを、合計特殊出生率という!


 順序立てて考えることで、合計特殊出生率がいったい何を合計し、何に対して特殊で、なんで率なのに%や‰でないのかがわかった。
  • 何の合計なの? → 年齢帯ごとの出生数の平均値を合計しているんじゃ
  • 何が特殊なの? → 15歳から49歳の女性の人口だけを計算しているんじゃ
  • なんで%じゃないの? → 野球の防御率とかもパーセントつかないじゃろ?
 こうなると逆に「普通出生率」って何だよという気持ちが押し寄せてくる。男も幼児も老人も計算に入れている出生率のどこが普通なんだ。いますぐ「普通」の座を特殊出生率に譲り、おまえは簡易出生率とでも名乗れい!